“購買・調達”と聞いてその業務がすぐに思い浮かぶ人は少ないと思います。
私は就職してから現在まで15年以上にわたり3つの会社でこの職種を経験してきました。作っているモノも企業規模も異なりましたが、良いバイヤーとして要求されるスキルにはいくつか共通点がありました。
どんな仕事(部署)なの?
企業により部署名は「購買部、調達部」など様々ですが主なミッションは外部の企業から“モノ”や“サービス”を購入することです。
製造業のうち大きな工場をもつ企業では必ず購買部、調達部が存在しています。
モノやサービスを安く買うだけの仕事と思われがちですが、QCD(品質・コスト・納期)を満たす優良な取引先と関係を構築し、社内では開発・製造部門のニーズを的確に把握するなど多くの場面で高いコミュニケーションスキルが要求されます。
■主な仕事内容
- 購入先の選定(新規取引先の開拓や発注シェアの決定)
- 取引条件の交渉(品質、コスト、納期、支払い条件など)
- 発注、検収(代金の支払い)
- SWOT分析等を用いた調達戦略の策定
- 集中購買
- その他
嶺渡(みねと)の業務経験あれこれ
購買・調達職として過去に買ったものは、乾電池から大きな設備まで実に様々。取引した企業は約400社にのぼり年間の取引額は40億円を超えることも。
そして、ありがたいことに仕事を通じて中国・インドネシア・タイといった海外へ行く機会にも恵まれ国による商習慣の違いについてもふれることができました。
業務を通して世の中のあらゆるモノやサービスがどのように作られ、価格が決定し供給されるのかを学ぶなかでこれらの知識を実生活の “おつかい(買い物)” にも活用できるのではないかと考えました。
一般消費者と企業の違い
同じモノを買うとき一般消費者と企業のバイヤーを比較すると後者のほうが有利な取引条件になります。
この違いが “バイイングパワー” です。
バイイング・パワーとは商業用語の一つ。チェーン店などの大規模小売店が持っている、大きな販売力を背景とした大きな購買力や仕入れ力のことをバイイング・パワーと言う。
出所:Wikipedia
企業は仕入先と継続的な取引をしているケースが多くその取引額も大きくなります。
そのため、ある企業が個人である “嶺渡 岳” と“〇×商事の嶺渡 岳” とでそれぞれ取引をする場合、バイイングパワーが働く後者により有利な取引条件が提示されるということです。
但し、著名な画家が描いた絵画のように数が限られているモノは例外です。
あくまで追加生産が可能な工業製品などにあてはまる話ですね。
プロの知識を生かしたおつかいスキルとは
では、いくら知識を持っていても一般の消費者という立場では意味のないものなのでしょうか。
プロフィールに記載したとおり、私は地方でFI(経済的自立)を目指しています。
この最初のフェーズでは支出をコントロールし投資資金をいかに多く貯められるかに重点を置いています。さらに、弊ブログで紹介するおつかいスキル(買い物スキル)を組み合わせることで、貯める力を加速させることが可能になります。
おつかいスキルとして必要なのは小手先の交渉テクニックなどではなく “事前準備” にあります。
これは商品を選択するところから始まっています。せっかく市場よりお得に商品を手に入れても、長期的に利益をもたらさない商品を選択していては目も当てられません。
また、絞り込んだ商品をいつ・どこで購入するかそれらを吟味する段階こそがおつかいの達人になるための必須項目である “事前準備” なのです。
交渉術のポイントは一つだけ
弊ブログでご紹介する “おつかいスキル” とはあくまで私が重視するコスパ・タイパを考慮した選択肢のひとつに過ぎません。
株式投資の情報商材などでよくあるような「ココだけの極秘情報」的な「これを知れば〇〇を最安値で買える」といった類のものでもありません。
企業の購買職を想定した指南書やセミナーは数多く存在しますが、それらはあくまで企業間での交渉を想定したものであり個人が日常の買い物で使用できる内容は殆どありません。
ただ、ひとつだけ効果を発揮する交渉術があります。
それが「競争購買」です!
競争購買が機能する例
この型番の洗濯機、〇×電機では¥49,800で売ってましたよ!
¥48,000まで値下げが可能ならこちらで買いたいです。
わかりました…
頑張ります!
このやりとりのなかには交渉の基本となる大切な要素がいくつか含まれています。
それは交渉に臨む前の情報収集です。
1 事前に自分が求めるメーカーやスペック(型式)を決めている
2 同じ商品を扱う販売店(競合先)を複数把握している
3 市場価格を把握したうえで希望価格を提示している
“おつかいの達人“ への近道は交渉力そのものよりもいかに事前準備をするかが重要です。
強い態度で押し切るのが交渉ではありません。お店側は目の前のお客が本気で買うつもりなのかを探っているのです。
まとめ
今回は企業における購買・調達の仕事と一般消費者との違い、そして日常のおつかいにおける交渉のポイントをご紹介しました。
お金を払う価値基準は人により様々ですが、私は特に以下の要素を意識してモノやサービスの選択をしています。
どれを優先しておつかいを完了するか。優先順位は都度変化するものです。
私が20代前半の頃はとにかくお金を優先していましたが結婚・子育てとライフステージの変化に伴いそれまで優先順位の低かった時間や健康を優先するケースが増えてきたように感じます。
また、株式投資を通して配当金などをはじめとする2つ目の収入源を確保したことで、「利回り」という視点が加わったことも大きな要因のひとつです。
これらを組み合わせた “おつかいの達人” による視点が少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
では、また。