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1社購買のメリット・デメリットを考える

バイヤー育成塾[初級編]
今回は購買関係者のあいだではネガティブなイメージの多い1社購買について考察します。
実は購入する状況によりメリットにもデメリットにもなるというお話です。

仕入交渉をする経営者さんや購買さんだけでなく、商品を販売する営業さんにも参考にして頂ける内容ですのでよろしければお付き合いください。

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1社購買のメリット・デメリット

・発注数量がまとまりボリュームメリットが出る
・取引先に強い供給責任が生じる
・打ち合わせや事務処理の時間が簡略化できる
・在庫スペースを縮小できる

・価格コントロールが効きにくい
・BCPのリスクが高い(災害・設備トラブルなど)
・入手できる情報が偏りやすい

1社購買は状況次第でメリットにもなる?!

プロの購買さんのあいだではもはや「悪」とされている1社購買ですが、使い方しだいではメリットにもなることをご存じでしょうか。
事業内容によっては1社購買に絞ることで生じるメリットが大きくなるケースがあることは覚えておく必要があります。

・発注数量がまとまりボリュームメリットが出る
 ➡ 自社の購買ボリュームが市場全体の数%にも満たない場合、あえて発注先を絞りロットをまとめることでコストを低減できる可能性がある

・取引先に強い供給責任が生じる
 ➡ 相手先が1社購買であることを知っている場合、自社の供給が滞ると売り手の製造工程や販売計画に多大な影響(製造ラインの停止や販売機会の喪失など)を及ぼすため、有事の際は優先的に供給量を確保してもらえることが多い

・打ち合わせや事務処理の時間が簡略化できる
➡ 打ち合わせが1社のみで完了し、見積書の入手・発注書の作成・受入れ検査・検収までの一連の流れが簡略化できる

・在庫スペースを縮小できる
 ➡ 複数社購買の場合、棚卸やトレーサビリティの管理が必要となるため取引先ごとに商品を分けて保管する必要があるが、1社であればその必要がなく在庫スペースが最小限で済む

購買・調達部門であれば何とかして2社以上を確保したい

経営者や調達部門で働いている方なら既に嫌というほど調達面の課題としてあがるポイントが前項のデメリットに並びました。
バイヤーの基本業務のひとつであるコストダウンを達成するには競合先の有無によって結果に大きな差が出ます。これは値下げの場面だけでなく、値上げ幅の抑制にも有効な手段となります。

また、BCPの観点では取引先が1社である場合、災害や設備トラブルなどで供給が止まると自社の生産活動までも停止に追い込まれてしまいます。また、最終製品であれば在庫が切れることで機会損失を招くことになり本来稼げたはずの売上げを失うことになります。

最後に情報です。複数社からの購買であれば、各社とやりとりをするなかで業界の状況や原材料コスト等のトレンドなど鮮度の高い情報を多く入手することができます。
これが1社だけからとなると情報の内容が偏りがちになったり、競合他社の動向を把握できないため値上げや値下げの時期を見誤ったりするリスクがあります。加えてサラリーマン目線で見れば、値上げの申請をする場合に価格の妥当性を証明しずらいといった状況も考えられます。複数社購買であればA社とB社を比較して値上げの時期やコスト水準を説明できますが、1社の場合だと原価構成を把握したうえで更に値上げの原因となった原料などの市況を調べて説明をする必要があるかもしれません。

おわりに|1社購買の是非は取引環境に応じて使い分けよう

いかがでしたでしょうか。
今回は1社購買のメリット・デメリットについて考察してみました。
仕入れる商品の特徴によって購買方法を使い分けることでコスト削減や業務効率の改善につながると考えることができそうです。
バイヤー歴が長い方ほど、所属する企業のネームバリューにかまけて横柄な態度で商談に臨んでしまうことが多いよう感じます。
商品が変われば取引先とのパワーバランスも大きく変わるということを常に念頭におき、商材ごとに適した調達戦略を考えることを心がけたいものです。

では、また。

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嶺渡 岳(みねと がく)

3つの企業で購買職を経験。乾電池から石炭まであらゆる「買う」知識を習得。年間数十億の取引きで得たスキルを日常のお買い物へ活用する “おつかいの達人”。プライベートではUターン転職を果たすも年収200万減に。「貯蓄 ➡ 投資」を実践し年間100万円超えの配当収入を得る。50歳までにFI(経済的自立)を目指す。2児の父だがイクメンではない。

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