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バイヤーの転職活動で役立つスキルとは

購買・資材・調達と呼ばれる職種における転職活動について自身の経験をベースにお伝えします。

転職活動で面接した企業は6社

ベンチャーから従業員数10,000名超えの大企業まで過去に6社ほど面接をさせていただく機会がありました。
それ以外にも書類選考の段階で落とされたり、エージェント経由で紹介された企業もいくつかありましたがほぼ全ての企業が「平日面接」のため有休を取得するにも限界がありました。企業数だけ見ると少ないですね。

職種を変えるべきか

私は過去2回ほど転職しいずれも前職と同じ職種(購買・調達職)を選んでいます。しかしながら、同じ職種を選んだ動機は全く異なるものでした。

  • 1回目の転職 ➡ 同じ職種を深堀し大きな組織で働いてみたい
  • 2回目の転職 ➡ Uターンしたい。収入はできるだけ落としたくない。

1回目の転職は30代前半でした。新卒で培ったキャリアにそこそこ自信があり、また在籍中の企業に対しても大きな不満がなかったため「今より条件が良ければ転職」というスタンスでした。転職するうえでは冷静な判断ができる理想的な状況であったと思います。
そのため応募した企業数も少なく、最終的には年収や業務内容が自身の希望する条件を満たす企業へ転職を決めました。

2回目の転職はプロフィールに記載したとおり企業に在籍こそしていたものの、「早く抜け出したい」という気持ちが強く焦りが先行していました。1回目の転職と違い転職するにはよくない状況となっていました。
また購買・調達職は本社に置かれる組織が多くUターンを最優先したこともあり募集は数件しかない状況でした。かといって未経験の職種にすると募集数こそ増えるものの、求人条件的には30代半ばであったということもあり極端に悪い条件(年収・休日日数など)が目立ちました。加えていつも募集をかけているような「ブラック企業」「離職率が高い企業」と推測される企業が残る状況でした。
この時ばかりは「最初の会社に戻れれば…」と何度も考えてしまう自分がいました。

30代ともなるとそれまでの経験を生かした職種でないと(地方であればなお)提示される条件は厳しいものになります。私の場合も相手企業が求めるスキルと自身のスキルにズレがあれば条件提示はシビアなものとなり「即戦力枠」から「人員補充枠」となり提示される条件も大企業の初任給レベルといった具合でした。


但し、ここまではあくまで購買職に絞った話です。というのも地方には工場が多く立地しているため工場勤務(製造系)であれば状況は一変します。求人数も豊富で30代は「若手」と捉えられるほど重宝されます。
しかしながら、これまで間接部門で働いてきた身としては何とかこれまでの経験を生かした仕事をしたいという強い想いがあり無意識のうちに企業の絞り込みをしていたのです。

面接で評価されたもの

いくつか面接を受けるなかで、これは評価されたというポイントがいくつかあります。

  • コストダウン実績、取引額の規模
  • コミュニケーションスキル
  • 有事の対応スキル
  • BCP対策スキル
  • その他(資料作成能力・棚卸経験等)

コストダウン実績、取引額の規模

購買といえばコスト。ということで過去に成功したコストダウンに関するプロセス(主にPDCA)と低減金額、そして取扱い金額などです。
これは一定の規模以上の企業で特に重視されている印象。
取引額(数量)が大きくなればなるほど単価1円の「重み」が違います。その点を心得ているかを探られているような感じでした。

コミュニケーションスキル

企業規模を問わず重要視されていた印象。
大きく2つに分けられ

①一般的なコミュニケーションスキル
②バイヤーとして社内外の調整役としてのコミュニケーションスキル

①は職種に関係なくチェックされるポイントです。相手は社風や所属先メンバーとの相性等を考えます。一見雑談と思われる会話でもその受け答えや表情から人間性を探られています。

②は購買職で特に重視されるポイントです。規模の大きな企業で特に求められるスキルです。
購買職は既に取引中の品目だけでなく、新商品の開発でそれらに使用する品目を調達することも。この場合、購入するモノの仕様は開発部門、荷姿は製造部門、コストは原価部門、支払条件は経理部門といった具合で様々な部署と調整を図る必要があります。
さらに、各部署で出た要望を取引先と交渉・調整しスケジュール内に話をまとめる高いコミュニケーションスキルも必要となります

有事の対応スキル

過去に「リーマンショック」「尖閣諸島問題」「東日本大震災」といったサプライチェーンを揺るがす出来事がありました。
尖閣諸島問題では政治的理由で中国からレアアースの出荷が制限されたり、東日本大震災では津波による被害や放射能汚染の問題などが発生しました。
私は当事者としてイレギュラーな事態にどう対応したかをリアルに伝える(話せる範囲で)ことで、想定外の事態が起きた場合の対応能力などをアピールしました。

誰もが知っている大きな事件や出来事に対して、当事者であるあなたがその時どんな行動をとったのか自分の言葉で伝えることができれば、それは非常に大きなアピールポイントとなることでしょう。

BCP対策スキル

BCP(事業継続計画)とは前の項目とも一部重なりますが、有事の際、事業の継続を可能とするため平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法を取り決めておく計画のことです。
購買職の目線で視た場合、複数社購買に向けた新規取引先の開拓や物流網の把握などがそれにあたります。
目的がコストダウンであったとしても、結果的に発注先の分散を実現しているのであればそれは立派なBCP対策となる訳です

その他(資料作成能力・棚卸経験等)

ここまで見ていただければお分かりかと思いますが、企業規模によって必要とされるスキルに幅があります。

企業規模によって異なる要求スキルの違い

大企業 : 狭く深く(特定分野の知識など)
中小企業: 広く浅く(交渉~発注~荷受け~検収)

大企業では30代であれば特定分野で深い知識を持った即戦力を求めています。取引先との折衝に加え社内でのプレゼンスキル(Excel等を使った資料作成を含む)も必須のケースが多いです。
逆に中小企業ではモノを発注して検収するまですべてのプロセスを1人で行える柔軟さが求められます。また、大企業で行われる研修等で得られるような知識やExcel等を活用した作業工数低減スキルなども歓迎されます。


私の場合、2度目の転職で地方の中小企業で面接を受けた際、フォークリフトでの作業など現場での業務があることや待遇面が今より(当時は大企業に所属)かなり劣る点を説明されました。帰り際、面接官だった配属予定部署の方が話しかけてくださり「お子さんもいるんだし(待遇面など)よく考えたほうがいいよ」と初対面の私へ真剣に本音をぶつけてくださいました。
結果的として内定は頂いたものの戴いた言葉がひっかかり数日ほど冷静に考えた結果辞退することにしました。大企業ではシステマチックに選考が進みますが、このような経験は非常に貴重なものとなり感謝してもしきれません。
私はそのときかけて頂いた言葉が転機となりその後の活動を見直すきっかけとなりました。

まとめ

購買職から購買職への転職を2回経験した私が考えるスキルは以上です。
職種というのは曖昧なもので、同じ部署名であっても企業ごとに定められた業務範囲はさまざまです。希望する転職先の募集要件にこれまで経験したことのない項目があり怯むことがあるかもしれません。しかし、よほど競争率の高い優良企業でない限りすべての要件を満たす精鋭揃いの会社はそうそうないと思います。応募せずに諦めるのではなく入社してから身につけるくらいの気持ちで問題ないと私は考えます。
あなたより相手先企業が求める人材が存在するかどうか、はっきり言ってそれは「運」です。仮に内定を逃したとしても必要以上に落ち込む必要はありません。だって運なのですから。
全ての方に転職を進める訳ではありませんが、日本のサラリーマンがポジティブな理由で自ら転職を考えている時点でそれは向上心がある素晴らしい証です。
転職に悩むすべてのバイヤーさんへ少しでも参考になれば幸いです。

では、また。

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嶺渡 岳(みねと がく)

3つの企業で購買職を経験。乾電池から石炭まであらゆる「買う」知識を習得。年間数十億の取引きで得たスキルを日常のお買い物へ活用する “おつかいの達人”。プライベートではUターン転職を果たすも年収200万減に。「貯蓄 ➡ 投資」を実践し年間100万円超えの配当収入を得る。50歳までにFI(経済的自立)を目指す。2児の父だがイクメンではない。

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