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発注シェアについて(1)

複数回にわたりバイヤーさんが采配する発注シェアについて考えます。担当者する取引先をさまざまな基準に沿って評価し、より優れた企業へ発注シェアを振ることでコストダウンの達成や円滑な原材料供給を実現します。

発注シェアを割り振る前の準備

そもそもシェアを割り振るということは、同じまたは同等のモノやサービスを仕入れるため複数の取引先が存在する必要があります。
もし一つの取引先しか存在しないのであればまずは競争購買ができる環境を整えることから始める必要があります。
複数社購買についてはこちらの記事をどうぞ。

まずは既存の取引先をQCDの視点で評価

すでに一つの調達品について複数の仕入先がある場合は定期的(1年毎など)にQCDに沿った評価を実施します。

QCD評価の例

Q(品質)   :過去の納入実績データから不良率などを調査
C(コスト)  :発注シェアの変化に伴うVol増によりコスト低減余地などを検討
D(デリバリー):供給能力の把握と納期遅延等について過去の実績を調査

大きな組織になると、品質評価は品質管理部門、デリバリーは物流部門など部署単位で統計データを蓄積しています。それらをバイヤーが集約し調達戦略の策定に反映するのが一般的です。
企業規模によってはこのような専門部署を持たないケースもありますが、その場合は不具合の発生件数等を記録するだけでも各取引先の実力を評価するうえでは有効な手段となります。

商流や業界地図を把握する

競争購買の場合、各取引先が自社の競合先となる企業同士を把握しているケースとそうでないケースとがあります。オープンな購買指針の企業では敢えて調達先を公開し定期的な発表会などで取引先を刺激し健全な競争状態を創出しています。しかし取引先を公開するデメリットとしてカルテルなど本来であれば競合関係となる相手と直接情報を取り合い価格を事前に取り決めをするなど健全な取引が阻害される恐れもあります。

また、自社が取引する相手が業界内でどのような地位(販売シェアなど)にあり横のつながりがあるのかといった情報も事前に把握する必要があります。
日本では長いデフレの期間を経て徐々に企業の統廃合が進んでいます。
余談ですが、わが家の子どもが大好きな「トミカ」や「プラレール」を販売するタカラトミーも以前は「タカラ」と「トミー」という別々の会社でした。おもちゃ業界も急速な少子化に見舞われており、以前と同じ商品群だけでは利益を伸ばすのが困難です。一方、視点を変えれば一人あたりの子どもへ使える金額は上がっているとも言えますのでより効果で利益率の高い商品を投入することで増収増益を確保することが可能になります。
上記はほんの一例ですが、売上げの大半を国内に依存するような業種ではM&Aなどにより統廃合が進み徐々に寡占化が進んでいます。
バイヤー目線で視ると、「昔は競争購買が簡単でよかったな…」と感じたり…寡占化が進む厳しい環境のなかコスト低減活動に四苦八苦するバイヤーさんが多く見受けられます。もしかしたらあなたの受け持つ業界もそのような傾向がありませんか?

少し前置きが長くなりましたが、ここでの要点は業界地図を把握することです。
例えば取引先のA社とB社で競争購買が働いていると考えていたが、実はB社はA社からC社向けの仕事をOEMとして受けているような場合、この2社間では「発注者」と「受注者」という別の側面を持っていることになります。
このような関係を知らないままゴリゴリと競争購買をしかけても有効な結果が得にくいです。
適正な取引先を選定することが効果的な競争購買の環境を構築する第一歩となります。

まとめ

第一回は発注シェアを割り振る前に必要な準備や考え方についてでした。
実際にシェア割りを変更する前の段階でも多くの注意点がありました。
次回は発注シェアを変動する際のポイントについて考えてみます。

では、また。

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