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[おつかいのプロが考察]キャベツを半額で売るスーパーとは

激安店舗や食料品をご紹介する記事ではございません。
あらかじめご了承ください。

近所で見つけたキャベツを激安で販売するスーパー

スーパーの情報

・大手スーパーのグループに所属
・駅から徒歩10分。客は車での来店が大半で数年前にオープン。
・同じスーパーが5㎞圏内に今年新たに出店
・激安をウリにしたスーパーではない

ざっとこんなスペック。店舗はまだ新しいため店内も広く品揃えもいい感じ。一般的な食料品は価格をウリにした競合店と比べると1割程度高い印象。当然アプリやらポイントカードやらを駆使すれば相応の価格水準には到達しますが、あくまで一般的な価格帯のスーパーといえます。
ふつうに考えれば、駐車場の造成から店舗の建設など巨額のコストを投じているため既存の競合先と比べれば多少高めの価格設定にせざるを得ないのも頷けます。

お散歩途中に入店。バイヤーの血が騒ぎリサーチを開始。

このお店は「自宅から近いけど高い。たまにいいモノ買いに寄る」くらいの認識でした。ある日、子どもとお散歩中にネットスーパーで買いそびれた食材があるのを思い出し不本意ながら同店で購入しようと立ち寄りました。するとさっそくバイヤーの血が騒ぎだしふだん利用しないお店の隠れたお買い得品を発掘すべく価格調査を実施。するとさっそく見つけました、わが家で常備しているキャベツがなんと相場の半額程度で売っているではありませんか!

しかし、一度安いくらいではおつかいのプロとして「優良」認定にはなりません。(←何様)
バイヤーたるもの、安さの秘密を解き明かさなければ本業でも足元をすくわれてしまう!と意味のわからない職業病を発症し継続調査の対象とすることに。その後数回にわたり曜日を変えながらリサーチを続けると、どうやら市場相場の価格で売る日と安値で売る日が混在していることをつきとめました。一定期間のみ安く販売しているのであれば、何らかの理由でたまたまスポット的に安く仕入れた可能性が高いのですがどうやらそうではなさそう。
ここから推測できることは、スポット契約や独自の安価な仕入れルートを持っている訳ではなくあくまで単品(の商品)としては赤字販売である可能性が高いと考えました。

なぜ飛び抜けて安い価格で販売するのか?

ここでもう少し理由を掘り下げて考えてみます。
あくまで仮説ですが、明らかに飛び抜けて安い商品を置くことにより消費者へ「安い!」という印象を植え付けついで買いを誘発しているのではないかと考えました。
ここでのポイントは多くの消費者が購入するメジャーな食材で実施することです。
例えば、モロヘイヤが半額で売られていたとしてもついで買いを誘発する可能性は低いのではないでしょうか。
それはなぜなのでしょう。

1、モロヘイヤを買うお客さんが圧倒的に少ない
2、モロヘイヤの市場価格を把握しているお客さんも圧倒的に少ない

つまり、モロヘイヤを安く買えて喜ぶ人も少ないし、そもそもモロヘイヤの市場相場を把握している人が少ないためその価格が安いのか判断がつかない。これではせっかく出血大サービスをしたところで誰も得をせず残念な結果だけが残ることでしょう。
(特にモロヘイヤへ個人的な恨みはありませんよ!)

おわりに|極端に安いモノが目の前に現れたら、まずはその理由を考える癖をつけてみよう

私は本業のバイヤー(購買職)で様々な提案や売り込みをして頂く機会があります。価格のみで飛びついたビジネスは短期的に良くても中長期的には何らかの問題をはらんでいたりするものです。ここで大切なのは、ビジネスであれプライベートであれ極端に安いもの(サービス)にはすぐ飛びつかずその理由を自分なりに考える癖をつけることです。
今回のケースでは、安いキャベツを買っても消費者側が不利益を被ることはありませんが、お店としては毎回お客さんにキャベツだけを購入されては困る理由があるためランダムに安値で販売する曜日を変更しているのでしょう。そうすることで、「今日は安いかな?」と立ち寄ってもらい「ついで買い」へ繋げているのだと結論づけました。
※あくまでみねとの推測です

ここまで書いておいて、自分の行動を振り返ると見事に企業のマーケティング戦略にはまっていたことがわかります。リサーチと称して「きっと安く買えるだろう」と期待を膨らませ本来ネットスーパーで買う予定だったキャベツをわざわざキャンセルし、いざ実店舗へ行ってみると予想に反し通常価格で販売されるキャベツを前に落胆。せっかく来たのだからと家族に頼まれていたミールキット(高付加価値品)をサッと買い物カゴヘ入れせっせと帰宅していたのです。
まさに企業の戦略勝ちですね。

こぼればなし

記事を書き終えて思い出したことがあります。
昔は卵がよく同様の戦略で特売になっていました。確か10個パックで88円とか。
キャベツ以上に必需品である卵は、たとえその日買う予定がなかったとしても特売となれば保存もある程度きくためついカゴに入れてしまった経験もあるのではないでしょうか。この「安い!」という印象を強烈に残すことで、より多くの消費者を集めることを可能にしていたのかもしれません。

昨今は長引くインフレの波を受け、鶏舎の光熱費だけでなく飼料も円安の影響で高騰。一時のピークからはいくぶん落ち着きましたがそれでも200円台が標準的なライン。
こんな時代だからこそ少しでも安いものに飛びつきたい気持ちもありますが、そこは一度冷静になり価格のカラクリをあれこれ考える癖をつけておくことで、買ってから後悔することを減らせたり悪質な商品を未然にブロックできるスキルが自然と身につくかもしれませんよ。

では、また。

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嶺渡 岳(みねと がく)

3つの企業で購買職を経験。乾電池から石炭まであらゆる「買う」知識を習得。年間数十億の取引きで得たスキルを日常のお買い物へ活用する “おつかいの達人”。プライベートではUターン転職を果たすも年収200万減に。「貯蓄 ➡ 投資」を実践し年間100万円超えの配当収入を得る。50歳までにFI(経済的自立)を目指す。2児の父だがイクメンではない。

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